いかにして北海道電力は北海道コンサドーレ札幌のクラブパートナーになったのか
こんにちは。
当社がクラブパートナー契約の締結を発表した9月13日。
Xを通じて、たくさんのコンサポさんとお話させていただきました。皆さまに喜んでいただけたことが、たまらなく嬉しかったです。
改めまして、ありがとうございました。
そんなやり取りの中で「過去の因縁をよく乗り越えた!」的なリプがちらほらありました。
そこら辺の実情を解説しつつ、当社がコンサドーレさんのパートナーとなった経緯をお話ししたいと思います。
申し遅れました。本日は、広報部で本件を担当したほくでん広報【公式】の中の人が書きます。
過去の因縁
この辺りは財界さっぽろさんの記事が有名ですね。
ほかにも「道新TODAY」の記事が記憶にある古参サポさんもいるかもしれませんね。
これに関して、社員の中には噂、流言、都市伝説として聞いたことがある人も確かにいますが、なにせ30年近くも前の話。
本人でなければ、その真偽、真意は分からないかもしれません。
一方でこんな事実もあります。
1999年度からの3年間、当社はコンサドーレさんへ纏まった額の寄付をしています。
こういう話を聞くと「コンサドーレに協力するな」なんて遺言は本当?と思ったりもします。
つまり、「よく分からん」のです。
さて、いきなり結論です。
パートナーの検討を進めるにあたって、この手の昔話は議論の俎上に載りませんでした。
真相はどうであれ、正直、今は昔です。
社内の抵抗勢力を相手にあの手この手で策を弄したり、失敗して役員に「君はもう、おしまいデス」と言われたり、「倍返しだ!」とか言って、大逆転するようなドラマはありませんでした。
「諦めなくてよかった」の意味
私は、9月13日のポストでこう記しました。
「諦めなくて良かったと心から思う」
そうです。一度、諦めかけました。
それはいつかというと、今年の5月。ゴールデンウイーク明けすぐ。㈱コンサドーレさんから最初にパートナーのご提案をいただいた時です。
ナイスガイなご担当者に色々とご説明いただきました。
サッカー以外にもバドミントンやカーリングチームを運営していること、道内各地にアカデミー組織があること、「PROJECT179」や私が好きなキャプ翼のキャラ名を冠した素敵な取り組みがあること。
中でも、クラブが目指す「サッカーやその他のスポーツを通じて、北海道に関わる全ての人を豊かに、元気にする」という志に、えらく共感したのを覚えています。
それでも断ろうと考えました。
理由は「費用対効果の説明ができない」です。ビジネスにおいては当たり前っちゃ当たり前なんですが・・・。
ここで少し、当社のビジネス環境についてご説明します。
わが社の主力商品は「電気」です。これ今、誰でも好きなところから買えちゃうんです。「電力の小売全面自由化」というやつです。
あえて言葉を選ばずに言うと、無理して北海道電力から買う必要はないんです。
と、ここで突然ですが、クイズです。
答えはD。なんと134です(2024年4月時点、電力調査統計より)。
競争に勝つためには、これまで以上に、よりシビアに、よりストイックに費用対効果の高いお金の使い方を追求していく必要があります。
言い方を変えれば、お客さまからいただいた電気料金を、価値のあるものに変えてお返しして、選ばれ続けていく必要があります。営利企業である以上。
なので、費用対効果は絶対に外せない条件なのです。
1週間ほど悩んだ挙句「この提案内容では、費用対効果の説明が難しいので、断念せざるを得ません」と上司に報告しました。
しかし続けて「でも、コンサドーレのパートナーには絶対になるべきです。内容を調整できれば、十分可能性はあります。ちょっと考えます!」と。
絶対にコンサドーレのパートナーになるべきと思ったワケ
きっかけは、コンサドーレさんから提案を受ける3週間前のポスト。
「いいね545、リポスト99、インプレッション3.4万(投稿日時点)」という反響が、当時の私には驚愕でした。
なにせ、当時直近の1ポスト平均が「いいね28、リポスト2、インプレッション0.4万」のショボ垢だったんですから(今でも企業公式のレベルではありませんが)。
「コンサのファンって凄い!」「ラブコールが熱すぎる」「この熱量は必ず当社の力になる!!」「何とかして仲間入りできないものか」「なんで今までノータッチだったんだ!?」
いつもなら「お断りして終了」のところを踏みとどまらせたのは、このXでの経験があったからです。
ちなみに、このポストの直後です。勤続30年超の先輩から過去の因縁の噂を聞いたのは。
「そんなの関係あるんすか?」が私の感想。仮に本当だとしても「今を生きる人たちが『会社のためになる』と判断できれば、それでいくないすか?」とも。
パートナー実現のキーマンは社内コンサポ
「ちょっと考えます!」と上司に啖呵を切ったはいいものの、どうしようかなと思いあぐねていた矢先、目の前の電話が鳴ります。
「首都圏販売部の吉野です」
電話の相手は、関東9都県で電気販売を担当する首都圏販売部のトップ(部長)でした。
吉野(敬称略)は、広報部の隠れコンサポから「○○(私)がパートナー提案を断る」という話を聞きつけ、「ちょっと待った!!」と電話をしてきたのです。
吉野は、北海道在住時の20数年間、ホームのほぼ全試合を現地観戦。東京に住む現在も、アウェーのゴール裏で応援する大のコンサポ(奥さまも) 。
そんな吉野が言うには「首都圏販売部でコンサドーレを支援する料金プランを打ち出せば、関東にいる大勢のコンサポは賛同してくれるはず。むしろ費用対効果という意味でもパートナーの話を進めてほしい」と助け船を出してくれたのです。
その後、吉野は、道内の電気販売を担当する販売推進部のグループリーダーだったため、道内での電気契約獲得も施策に加えるべく、販売推進部に働きかけます。さらには、他の関係部署への説明・調整から資料づくりまで精力的に動きました。
そう。もはや、私なんかいらないんじゃないか?というほどに。
かくして、当社・コンサドーレさんの双方で検討・調整を重ね、8月頭には正式にクラブパートナーをお受けすることをナイスガイにお伝えしました。
最初にご提案をいただいてから約3か月。当社にしては類を見ないスピード感でシーズン中の契約に間に合わせたのです。
この吉野の動き、熱烈なコンサポであることが原動力ではありつつも、実はその背後には社内のコンサポたちがいました。
吉野や彼らは、コンサドーレさんから提案をいただくよりも前から、当社がパートナーになるためにどうすべきか議論を交わしていたのです。陰で。
もうこれ、完全に私いらないやつ(๑˘・з・˘)
コンサドーレのパートナーになって目指したかったもの
「北海道コンサドーレ札幌様の目指す未来に当社が叶えたいと願う北海道の姿があり、その実現をともに目指したいと考え、クラブパートナーになることを決意しました」
コンサドーレさんのホームページに載っている当社コメントの一節です。
コンサドーレさんは、サッカーやその他スポーツを通じて「北海道に関わる全ての人を豊かに、元気にすること」を目指しています。
当社は、電力供給はもちろん、お客さまや地域の課題解決を通じて「北海道全体の発展」を目指しています。
今回のパートナー契約は、志の共鳴だけでは実現しませんでした。
しかし、志の共鳴なくして実現しなかったのも事実。
今季、クラブの戦績は、はっきり申し上げると良くない。J1残留をかけて、まさに首の皮一枚、崖っぷちの戦いが続いています。厳しい見方をする人もたくさんいます。
それでも当社は、この先の結果がどうであれ、クラブがある限り、熱いサポさん達がいる限り、末永くともに歩んでいきたいと思います。
ま、残留も、諦めてやるつもりは1㍉もありませんけどね(笑)